求められる男性育休、男女が共に担う社会へ

 

(上田くによし) 

 

「男女共同参画社会基本法」が施行されたのが1999年の6月であったことなどから、6月には男女平等推進のイベントが多く実施され、生活と労働が調和する男女平等社会の実現に取り組まれています。今年は、新型コロナウイルスの影響から、妊娠している女性の就業環境が不安視されるなど、安心して出産し、子を養育していく環境整備の重要性が再認識されている状況です。

 

少し振り返って、昨年末のことですが、各国の男女格差を、経済・教育・健康・政治の4分野14項目で分析した「グローバル・ジェンダーギャップ指数」において、日本が世界153ヵ国のうち121位となったと報じられました。前年の110位から大幅に順位を下げ、女性が社会で活躍することが難しいとされる、アラブ首長国連邦(120位)とクウェート(122位)にはさまれるという驚きの結果となってしまいました。日本の社会が世界標準から大きくかけ離れている現実を受け止め、社会を変える着実な取り組みが必要となります。

 

 このような現状において、男女が共に担う社会の実現には、ワーク・ライフ・バランスの確立が必須です。そのための施策として、長時間労働の是正や休暇の取得促進などとともに、男性の育児休業取得率の向上が掲げられています。

(引用写真:2020/5/30産経新聞)

政府は本年5月29日に閣議決定した「少子化社会対策大綱」の中で、2018年度の男性育休取得率6.16%から、5年間で30%への引き上げを目指していくことを明記しました。もともとは、2015年度に2.26%であった取得率を2020年までに13%を目指すとしていましたが、遠く及ばない状況となっています。この指針は、少子化対策として定められたものではありますが、男性育休の促進が、家庭内における男女の性的役割分担の見直しにとどまらず、女性活躍の推進など、広く社会全体で取り組むべき課題となってきていることをあらわしています。